前回は、歯ぎしり・食いしばりが頭痛や肩こり、顎の痛みにつながることを見てきました。今回は、その顎の不調の代表格である「顎関節症(がくかんせつしょう)」について掘り下げます。「口を開けるとカクッと音がする」「大きく口が開かない」「顎が痛くて食事がつらい」――そんな経験はありませんか。決してめずらしい症状ではなく、多くの方が一度は感じるものです。鹿児島市武岡の小森歯科クリニックが、その正体と向き合い方をやさしく解説します。
顎関節症は、耳の前あたりにある顎の関節(顎関節)や、その周りで顎を動かす筋肉に不調が起こる状態の総称です。ひとつの病気というより、いくつかの原因が重なって生じる症状のまとまりと考えられています。
代表的なサインは、大きく3つです。ひとつめは「顎の痛み」。口を開け閉めしたり、噛んだりするときに、関節や頬・こめかみの筋肉が痛むことがあります。ふたつめは「関節の音」。開け閉めのときに、カクカク・ジャリジャリといった音が鳴るタイプです。みっつめは「口の開けにくさ」。指が縦に3本入らないほど口が開かない、途中で引っかかる感じがする、といった状態です。
これらは単独のことも、重なって表れることもあります。軽いうちは自然に和らぐこともありますが、痛みや開けにくさが続く場合は、我慢せず確認しておくことが大切です。
顎関節症の原因は、ひとつに限られません。いくつかの要素が積み重なって、関節や筋肉が耐えられる範囲を超えたときに症状として表れると考えられています。
背景としてよく挙げられるのが、これまで見てきた歯ぎしり・食いしばりです。噛む筋肉や関節に日々かかる負担は、顎関節症の一因になりうるとされています。ほかにも、噛み合わせのバランス、ストレスや緊張、頬づえ・うつ伏せ寝・長時間のスマートフォンなどの生活習慣、片側だけで噛むクセ、外傷などが関わることがあります。
原因が複数からむぶん、「これさえ直せば」という単純な話ではありません。だからこそ、自分の生活の中に思い当たる負担がないかをふり返り、専門家と一緒に整理していくことが、遠回りのようで近道になります。
次のような状態が続く場合は、早めに歯科で相談しておくと安心です。
症状が軽いあいだは、家庭での過ごし方も助けになります。硬い食べ物や大きく口を開ける動作を控えめにする、あくびのときは手を添える、頬づえや食いしばりに気づいたら力を抜く――こうした「顎を休ませる」意識が、負担の軽減につながることがあります。ただし、強い痛みや口が開かない状態が続くときは、自己判断で無理をせず、咬み合わせを含めて専門家に確認することをおすすめします。
顎関節症は、多くの場合、生活の見直しや負担を和らげる工夫から取り組んでいく症状です。あわてて特別なことをする必要はありませんが、放置して痛みや開けにくさが強まる前に、状態を知っておくことには意味があります。
当院では、顎や噛み合わせ、噛む筋肉の状態を確認し、日中のクセや生活習慣もふまえて、おひとりずつに合わせた対策をご提案しています。次回は、こうした顎の負担への対策として知られる「マウスピース(ナイトガード)」について、くわしく見ていきます。顎の不調が気になる方は、ひとりで抱え込まず、気軽にご相談ください。
顎関節症は、顎の痛み・関節の音・口の開けにくさを主なサインとし、歯ぎしりや噛み合わせ、生活習慣など複数の原因が重なって起こると考えられています。軽いうちは顎を休ませる工夫で和らぐこともありますが、痛みや開けにくさが続くときは早めの確認が安心につながります。大切なのは、我慢して放置せず、負担の背景に目を向けること。鹿児島市武岡の小森歯科クリニックは、顎とお口の快適さから、皆さまの毎日を支えていきます。ほかの記事は歯科コラム一覧からご覧いただけます。
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、特定の効果を保証するものではありません。顎関節の症状には個人差があり、原因もさまざまです。強い痛みや口が開かないなどの症状がある場合は、歯科医院や医療機関へご相談ください。(参考:厚生労働省「e-ヘルスネット」、日本顎関節学会の公開情報をもとに作成)