これまで、気づきにくい歯ぎしり・食いしばりのしくみ(第1回)、歯そのものへの影響(第2回)を見てきました。今回のテーマは、歯だけにとどまらず「体」に広がるサインです。朝起きたときの頭の重さ、慢性的な肩こり、顎のだるさ――その一因が、実は夜間や日中の噛みしめにあることも少なくありません。「どこに行っても原因がわからない不調」の背景に噛む力が隠れていることもあります。鹿児島市武岡の小森歯科クリニックが、その関係をやさしく解説します。
歯を強く噛みしめるとき、実は顔や頭のまわりにある多くの筋肉が働いています。とくに、こめかみのあたりにある側頭筋(そくとうきん)や、頬にある咬筋(こうきん)は、噛む力を生み出す代表的な筋肉です。
歯ぎしり・食いしばりで、これらの筋肉が夜通し、あるいは日中も緊張し続けると、筋肉は疲れてこり固まっていきます。肩や首をずっと動かさずにいると凝るのと同じで、噛む筋肉も使いすぎれば張ってきます。この筋肉の緊張が、こめかみの痛みや締めつけられるような頭痛、さらには首や肩のこりへと広がって感じられることがあると考えられています。
「朝起きたときから頭が重い」「夕方になると決まって頭が締めつけられる」――そんなパターンがある方は、噛む力の関与を一度疑ってみる価値があります。
頭痛や肩こりと並んで表れやすいのが、顎まわりの症状です。「朝、顎がだるい」「口を大きく開けると疲れる・痛い」といった感覚は、噛む筋肉を夜間に酷使したサインのことがあります。
顎を動かす筋肉が張ったままだと、口の開け閉めがスムーズにいかなくなったり、こめかみや耳の前あたりに痛みを感じたりすることもあります。こうした状態が続くと、次回のテーマである「顎関節症(がくかんせつしょう)」へとつながっていく場合もあります。つまり、顎のだるさは、体からの早めのお知らせと受け止めることができます。
大切なのは、これらを「疲れのせい」「年のせい」と決めつけず、噛む力という共通の背景があるかもしれない、と気づくことです。
次のような心当たりがないか、ふり返ってみましょう。噛む力が過剰になっているときに表れやすいサインです。
当てはまる項目が続く場合は、一度咬み合わせや噛む筋肉の状態を確認しておくと安心です。とくに、口が開けにくい・強い痛みがあるといったときは、早めに歯科へご相談ください。頭痛や肩こりには別の原因もあるため、自己判断せず、気になるときは専門家に確認することが大切です。
歯・顎・頭・肩――一見ばらばらに見える不調が、「噛む力の負担」という一本の糸でつながっていることがあります。逆にいえば、その糸に気づけば、対策の糸口も見えてきます。
当院では、噛み合わせや噛む筋肉の状態を確認し、日中の食いしばりのクセや生活習慣もふまえて、おひとりずつに合わせた対策をご提案しています。次回は、こうした症状の先にある「顎関節症」について、原因や対処法をくわしく見ていきます。原因のはっきりしない頭痛や肩こりでお悩みの方は、ひとりで抱え込まず、気軽にご相談ください。
歯ぎしり・食いしばりは、噛む筋肉の緊張を通じて、頭痛や肩こり、顎のだるさ・痛みといった全身のサインとして表れることがあります。どれも「噛む力」という共通の背景を持ちながら、原因が見えにくいのが難しいところです。けれども、そのつながりに気づくことが、長引く不調と向き合う第一歩になります。鹿児島市武岡の小森歯科クリニックは、お口から体全体の快適さを見つめ、皆さまの毎日を支えていきます。ほかの記事は歯科コラム一覧からご覧いただけます。
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、特定の効果を保証するものではありません。頭痛・肩こり・顎の痛みには歯ぎしり以外の原因もあり、症状の感じ方には個人差があります。強い痛みや長く続く不調がある場合は、歯科医院や医療機関へご相談ください。(参考:厚生労働省「e-ヘルスネット」、日本顎関節学会・日本口腔顔面痛学会の公開情報をもとに作成)