コラム|鹿児島市武岡の歯医者「小森歯科クリニック」

コラム

News歯周病と認知症・アルツハイマーの関係と…

「歯ぐきの病気と物忘れに、何の関係があるの」――そう思われるかもしれません。けれども近年、歯周病が認知症やアルツハイマー病と関連している可能性が、さまざまな研究で指摘されるようになってきました。お口の健康を保つことは、将来の認知機能の健康を考えるうえでも注目されています。その関係を、いっしょにやさしく見ていきましょう。

歯周病は「お口だけ」では終わらない

歯周病は、歯と歯ぐきの間にできた歯周ポケット(歯と歯ぐきのすき間)で細菌が繁殖し、歯ぐきや歯を支える骨を少しずつ壊していく病気です。痛みが出にくいため、気づかないうちに進んでいることが少なくありません。

このシリーズでお伝えしてきたように、歯周病は「お口の中だけの問題」では済まないことがわかってきています。炎症を起こした歯ぐきは、小さな傷口がたくさん開いたような状態。そこから歯周病菌や、菌が刺激してつくり出す炎症性物質(体内で炎症を広げる物質)が、血流に乗って全身へ広がる可能性があると考えられています。

その「全身」のひとつに、脳も含まれるのではないか――そう注目されているのが、認知症やアルツハイマー病との関連です。もちろん、これは「関連が指摘されている」段階の話ですが、毎日のケアの大切さを考えるうえで、知っておいて損はないテーマです。

なぜ歯周病が認知症と関係するのか

注目されている理由のひとつが、「炎症」です。歯周病による炎症が長く続くと、菌や炎症性物質が全身をめぐり、脳の中の環境にも影響を与えるのではないかと考えられています。

たとえば2019年に発表された基礎研究では、歯周病の代表的な原因菌の一つがつくり出す物質が、アルツハイマー病で亡くなった方の脳から検出されたと報告され、注目を集めました。また、アルツハイマー病では脳に「アミロイドベータ」という物質(脳にたまる老廃物のようなもの)が蓄積するとされますが、歯周病の慢性的な炎症がこの蓄積と関わる可能性も指摘されています。ただし、これらは主に基礎研究や観察研究の段階で示された「関連の可能性」であり、歯周病が認知症を引き起こすと証明されたものではありません。

イメージとしては、お口の中で小さなボヤ(炎症)がくすぶり続け、その煙が体じゅうに回って、遠く離れた脳にまでうっすら影響していく――そんな関係が「仮説として」想像されている段階です。認知症は、加齢や遺伝、生活習慣など多くの要因が重なって起こるもので、歯周病だけが原因と決まったわけではありません。また、歯周病の治療やケアによって認知症を予防できる、と証明されたわけでもありません。それでも、毎日のケアや歯周病治療でお口の環境を整えることは、自分で取り組みやすい健康習慣の一つとして、見直してみる価値があります。

「噛めない」ことも認知機能に関わる

歯周病と認知症の関わりは、菌や炎症だけではありません。「噛む力」も大切なポイントです。

歯周病が進んで歯を失うと、しっかり噛むことが難しくなります。よく噛むことは、脳の血流を促したり、脳を刺激したりすると考えられており、噛む機会が減ることが、めぐりめぐって脳の働きに影響するのではないかといわれています。「自分の歯でよく噛んで食べる」という当たり前のことが、脳の働きという視点からも見直したい習慣だといえます。

歯を失う大きな原因のひとつが、この歯周病です。つまり歯周病を予防し、歯をできるだけ長く残すことは、噛む力を保ち、食事や会話を楽しみ続けることにもつながります。これは認知症との関連を抜きにしても、暮らしの質を支える大切な土台だといえるでしょう。

鹿児島・武岡で今日からできる歯周病対策

「将来が不安になってきた」と感じた方も、心配しすぎる必要はありません。大切なのは、早めに気づいて、続けて対策することです。まずは、次のようなサインがないか確かめてみてください。

  • 歯みがきのときに歯ぐきから血が出る
  • 歯ぐきが赤く腫れている、またはむずがゆい
  • 朝起きたとき口の中がねばつく、口臭が気になる
  • 歯がぐらつく、または以前より長く見える(歯ぐきが下がってきた)

こうしたサインに心当たりがあれば、早めの相談がおすすめです。そのうえで、毎日のケアとして次の3つを意識してみましょう。

  1. 毎日のていねいな歯みがきに加え、歯間ブラシやデンタルフロスで歯と歯の間の汚れも落とす
  2. 歯ぐきからの出血や腫れに気づいたら、早めに歯科で相談する
  3. 自分では取りきれない歯石を、定期的(おおむね3〜6か月ごとが目安)に歯科で取り除いてもらう

あわせて、喫煙は歯周病を進めやすくする要因とされ、糖尿病など全身の病気とも互いに影響し合うことが知られています。これらが気になる方は、歯科でのケアとともに、内科など医科での管理を続けることも大切です。鹿児島市武岡の小森歯科クリニックでは、お口の状態を確認しながら、一人ひとりに合わせた歯周病ケアと予防歯科をご提案しています。定期的なチェックは、お口と全身の健康を見直すよいきっかけになります。

まとめ

歯周病は、お口の中だけの問題ではなく、認知症やアルツハイマー病との関連が指摘されている病気です。炎症が全身をめぐる可能性に加え、「噛む力」を通じても脳とつながっていると考えられています。痛みが出にくいぶん気づきにくいのが難しいところですが、早めの確認と継続的なケアによって、状態に応じた対策を進めやすくなります。自分の歯で噛み、健やかに暮らし続けるために、気になったときが相談のタイミングです。鹿児島市武岡の小森歯科クリニックは、お口から皆さまの健康習慣づくりをサポートします。ほかの記事は歯科コラム一覧からご覧いただけます。

※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、特定の効果を保証するものではありません。お口や体の状態には個人差があります。気になる症状がある場合は、歯科医院や医療機関へご相談ください。(参考:厚生労働省「e-ヘルスネット(歯の健康・歯周病)」、日本歯周病学会の公開情報、および歯周病菌と脳との関連を報告した研究〔Dominy ら 2019年, Science Advances〕をもとに作成。関連は研究段階のものを含みます)

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