「朝起きると顎が疲れている」「家族に歯ぎしりを指摘された」――そんな心当たりはありませんか。歯ぎしりや食いしばりは、多くが眠っている間や無意識のうちに起こるため、自分ではなかなか気づけません。けれども、その小さな力が毎晩くり返されると、歯や顎、肩や頭にまで影響が及ぶことがあります。このシリーズでは、気づきにくい「噛む力のクセ」とのつき合い方を、鹿児島市武岡の小森歯科クリニックがいっしょに見ていきます。
歯ぎしり・食いしばりは、専門的には「ブラキシズム(無意識に歯をすり合わせたり、強く噛みしめたりする習癖)」と呼ばれます。大きく分けると、ギリギリと歯をすり合わせるタイプ、ぐっと噛みしめるタイプ(食いしばり)、カチカチと小刻みに鳴らすタイプがあります。
やっかいなのは、その多くが睡眠中や、日中でも作業に集中しているときなど、本人が気づかないうちに起こることです。しかも、寝ている間の噛む力は、自分が思っているよりずっと強いといわれます。たとえるなら、毎晩、歯や顎に静かに重い荷物を乗せ続けているようなもの。一回いっかいは小さくても、積み重なれば負担になっていきます。
とくに見落とされやすいのが、日中の食いしばりです。本来、上下の歯は会話や食事のとき以外、わずかにすき間が空いているのが自然な状態とされています。ところが、パソコン作業や運転、スマートフォンの操作などに集中していると、知らないうちに歯を接触させ、ぐっと力が入っていることがあります(こうした上下の歯を触れ合わせ続けるクセは「歯列接触癖」とも呼ばれます)。睡眠中の歯ぎしりだけでなく、こうした日中のクセも合わさって、歯や顎への負担を生んでいるのです。
歯ぎしり・食いしばりの原因は一つではなく、いくつかの要素が重なって起こると考えられています。
もっともよく挙げられるのが、ストレスや緊張です。日中に感じた気持ちの張りつめが、夜間の噛みしめという形で表れることがあると考えられています。仕事や人間関係で気が抜けない時期に、歯ぎしりが強くなったように感じる方も少なくありません。
そのほかにも、噛み合わせのバランス、睡眠の深さや質、飲酒・喫煙、カフェインのとりすぎといった生活習慣が関わることもあるとされています。寝る前のスマートフォンやお酒で眠りが浅くなると、歯ぎしりが出やすくなるという指摘もあります。さらに、日中の「集中すると気づくと食いしばっている」というクセが習慣として根づき、夜のクセと重なっている場合もあります。
このように原因は一つに絞りきれず、複数の要素が重なって起こることがほとんどです。だからこそ「自分の心がけが足りない」と責める必要はありません。まずは、自分にもそうしたクセがあるかもしれない、と気づくこと。それが、負担をためこまないための第一歩になります。
歯ぎしり・食いしばりは気づきにくいぶん、体に出る“小さなサイン”が手がかりになります。次のような心当たりはないか、ふり返ってみましょう。
当てはまる項目があっても、すぐに心配しすぎる必要はありません。ただ、こうしたサインは「噛む力が少し過剰になっているかもしれない」というお知らせです。
なかでも、次のような変化が続く場合は、早めに歯科で相談しておくと安心です。
これらは、噛む力の負担が歯や顎に表れているサインのことがあります。気になる場合は、一度咬み合わせの状態を確認しておくとよいでしょう。
「もしかして自分も?」と感じたら、それは向き合うのにちょうどよいタイミングです。歯ぎしり・食いしばりは、放っておくと歯のすり減りや割れ、顎の不調などにつながることもあるため、早めに気づくことに意味があります。
当院では、歯の状態や咬み合わせを確認し、おひとりずつに合わせた対策をご提案しています。次回以降のこのシリーズでは、「歯への影響」「頭痛・肩こりとの関係」「顎関節症とのつながり」「マウスピース(ナイトガード)という選択」などを、順番にやさしく解説していきます。気になるサインがあれば、ひとりで悩まず気軽にご相談ください。
歯ぎしり・食いしばりは、眠っている間や無意識のうちに起こることが多く、自分では気づきにくい「噛む力のクセ」です。原因はストレスや生活習慣などが重なって起こると考えられ、朝の顎のだるさや歯のすり減り、肩こりなどがサインになります。大切なのは、責めることではなく、早めに気づいて向き合うこと。鹿児島市武岡の小森歯科クリニックは、皆さまのお口と毎日の快適さを支えていきます。ほかの記事は歯科コラム一覧からご覧いただけます。
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、特定の効果を保証するものではありません。症状の感じ方やお口の状態には個人差があります。顎の痛みや歯のすり減りなど気になる症状がある場合は、歯科医院へご相談ください。(参考:厚生労働省「e-ヘルスネット」、日本顎関節学会・日本補綴歯科学会の公開情報をもとに作成)